理学療法士がスポーツ分野でトレーナーとして活躍している人が増えている。
主にはサッカーでブラジルで言うフィジオという分野。昔、サッカーのイングランド代表のトレーナーをしていた理学療法士と話したとき、「チームに入って絶対に理学療法士が必要だ!」「なぜ、日本は(チームに)居ないのか?」っとどうした訳か怒って私に言ってきた。
それから時が経ち、現状は変わりつつある。
以前、Twitterで理学療法士がスポーツ現場で技術的なことを指導する奴がいる!なんて奴だ!的な投稿を拝見した。
スポーツ分野では時々このような話題が聴こえてくる。理学療法士が現場に介入し過ぎていることや過度な専門的知識で現場を振り回している!というような内容だ。残念なことだが事実として起こっているだろうも思う。
残念なことだが、これにより、スポーツ現場は理学療法士を求めなくなったという話まで聞こえてくる。
私は、理学療法士の専門的知識はスポーツ現場に絶対に必要だが、伝え方や表現、スポーツ現場への導入は戦略的でなければいけないと考えている。
日本のスポーツ現場において理学療法士は後発的立場だと私は考えている。
特にトレーナーとしての立場は微妙だ。ストレングストレーニングが中心的な活躍の場でも無ければマッサーとしての立ち位置は受け入れがたい。いやいや、アスレティックリハビリテーションだ!と言ってもアスレティックトレーナーの存在もある。とても微妙なのだ。
微妙だからこそ、存在価値を伝えたいと考え、理学療法士が過度な現場介入をしてしまうことにつながっているかもしれない。
理学療法士が現場で求められることは第1に怪我の予防だ。メディカルチェックを通して選手それぞれの身体的特徴を捉えて予め怪我の発生リスクを把握して怪我の予防をして行く必要がある。
次に、怪我の既往による障害の改善や再発予防などを発見し改善またはパフォーマンスアップにつながることが求められる。
スポーツ選手は怪我が本当に治るまでに復帰してしまうことがある。残念な話だがまだ日本ではそれが当たり前な環境になっている。そのために新たにチームに入ってくる選手のコンディションは必ず確認しなければならない。なんらかの障害があった時、その後の影響であらゆる障害が発生する予測は、理学療法士の得意とするところで未然に防ぐ事に大きな存在価値がある。
可能であれば、理学療法士はストレングストレーニングやスポーツ現場の練習なども把握することが望ましい。その上で身体の使い方やパフォーマンスアップにつながるトレーニングが導き出された時、指導者やスキルコーチと相談して新たなトレーニングが誕生し選手に伝わるかもしれない。
ここで大切なことはコーチ陣達と相談して決めて行くことだ。
理学療法士は出来る限り活躍したいと考えていて未然に防ぐことの評価はなかなか当然の事として評価されない。そこに不満を持つかもしれないが、順序やそれぞれの立場を理解しなければ今後の活躍の場を失うことになる。
私は理学療法士としてもS&Cとしてもチームに介入しているがそれは指導者の理解と選手の理解があってこそだと思っている。チームをサポートした当初はここまでの信頼関係はなかったがやはりそこは実績を積み上げていき、自分の意見を伝わるように伝えて相談して築いてきた。
理学療法士がスポーツ現場で活躍したい時はまず自分自身の立場と出来ることを明確にしてチームに入って行くことをオススメする。
主役はあくまでも選手たちだ。理学療法士は黒子だ。黒子の役割は目立たないが最大限の効力を発揮するように努めて行こう。