答えを持たない人

コラム
答えはあるのに持っていない人がいる

「(あ、諦めた)」私は利用者さんが話すのを諦めた瞬間を見逃さなかった。

私は行政の事業を受託している。主にはデイサービスに出向いて機能訓練の方法を伝えているのだけど、その時にデイサービスのスタッフと一緒に利用者さんの機能訓練を作っていく。

今回の利用者さんは脳梗塞の後遺症で運動性失語が後遺症として強く残っていた。

私が話す言葉は問題なく理解できているのに自分の考えを言葉にして伝えることができない。それが運動性失語の特徴ですが、なんとも歯がゆい症状だった。

周囲から見ると「意地悪だな」と感じるほどに私は普通に言葉を投げかける。基本的には「はい」、「いいえ」で答えられる内容や言い回しにするが、時々自分の言葉を発しなければ答えが出ない質問もする。

評価のために行うが、多くの場合、できているのにできないと評価されている場面があるために行っている。その時、ちょっとした仕草や反応を見逃さないようにしている。視線や指や足の動きには心の反応が出る。慣れてくると少しの反応で解るようになるのだけどこれが結構大切なことにつながる。

今回も表情の動きで「(あぁ、本当は話したいんだな)」っと感じ取れた。周囲のスタッフは代弁するのだけれど、その代弁がズレていると修正したいのに伝えられない。言葉が出ないから諦めるっという場面がいくつかあった。

私は利用者さんに「本当は話して伝えたいよね?」っと確認し、ALS患者さんが使う文字盤があると利用者さんに伝えた。そして、スタッフにも利用者さんとのコミュニケーションはそれを使ってやりましょうっとアドバイスをした。

一連のやりとりをする中、利用者さんは麻痺していない左手を出し握手を求めてきた。そして、嬉しそうに泣いていた。

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答えを持たない人

私は行政の委託を受けてデイサービスに出向いて機能訓練の方法を教えています。

この事業を始めるきっかけは地域のデイサービスの環境を良くするためにでした。デイサービスの環境は年々良くなっているものの今回のようにデイサービスのスタッフでは対応が難しい利用者さんがいます。

そこでは利用者さんもスタッフも答えを持っていません。
様々な制約があるためにすべての事に対応が難しいのですが、どうしてもデイサービスへの偏りが生まれているのが現状です。介護保険サービスの中で医療保険の範囲である症状の対処を利用者さんやその家族は求めています。

医療機関に行っても正しい対処、処置、リハビリテーションが提供されていないこともあり、答えが見つからない状況です。

この状況は、これからも改善されていくと思いますが、事前にこれらの知識を持っていなければ取り残される状況であることに間違いはありません。

リハビリテーションに関わる私たちはもっと社会のことを学び医療機関から飛び出していく必要があると考えています。