これからのキャリアプランを考えている理学療法士は多いと思います。
そこで、これまで私が実践してきた理学療法士のキャリアプランをまとめながら理学療法士のキャリアプランを書いてみます。
結論から言うと、理学療法士のキャリアプランは強い軸を作ること。そして、その軸を中心にあらゆることに挑戦し実績を積み上げて広げていくことをオススメします。

ライフイベントで求めるキャリアが変わる
理学療法士に成り立ての20代前半は気にしていないキャリアも、結婚や出産などライフイベントが身近になってくると給与や未来設計図を考え始めるとどうしても考えなくてはいけない状況になってきます。
理学療法士のキャリアは広がっています。
以前であれば、介護保険事業の起業や鍼灸師や柔道整復師の資格を持つダブルライセンスのキャリアなどが注目されていました。
現在では、株式会社の起業、コンサルタント、自治体へのアドバイザーなど活動の範囲は広がっています。特にヘルスケアビジネス関連のアドバイザーやコンサルタント、起業は理学療法士の活動の場として広がり続けています。
今後、理学療法士が活動できる場として考えられているのが疾病・怪我予防分野と自費リハビリテーション分野です。
現在、医療施設を離れて活躍する理学療法士はこの2つの分野での活躍が目立っています。
キャリアは強い軸を持ちできるだけ大きく広げる。
キャリアプランを考える時、出来るだけ軸を持って大きな一歩を踏み出すことをオススメします。
比較的、はじめやすいのは講師ですが、それだけでは単発に終わり、本格的なキャリアを築けません。
予防という視点に掛け合わせるキャリアは、できる限り医療や介護とは違う分野と掛け合わせることで新しいキャリアが形成されていきます。
私のキャリアで言えば、起業家のメンターをしています。
つまり、起業家の精神的なサポートと事業のサポートを同時に行っています。
予防×起業家メンター=起業家の精神的不安の解消&事業成長という図式になります。
起業家は事業の将来を不安に思いながら孤独です。
これは起業してみなければ本当に理解できませんが、明日にも資金がショートする可能性がある時は冷静な判断などできず、精神を病んでしまいます。ある統計によると60%近くの起業家は精神を病んでいると言われています。
キャリアプランを考える時に大切なことが予防以外にもう1つあります。
それは強い軸を持つことです。
理学療法士として強い軸を持ちましょう。
キャリアプラン強い軸の作り方
キャリアを築くために欠かすことができないのが軸です。
軸が強ければ強いほどにキャリアを広げていくことができます。
軸の中身は目指すべき方向で異なってきます。
私の軸は主に3つです。
理学療法士の基礎となる生理学、運動学、解剖学の基礎医学軸とアスレティックリハビリテーションの軸、ストレングス&コンディショニングの軸です。
ここでは理学療法士の軸ですので仕事内容が変われば軸が入れ替わります。
軸の形成はこれまでの自分のキャリアで欠かすことができないものであることが条件です。
手技やトレーニング方法を軸に置くことはなく、それらの基礎となる知識や思考を軸とします。
軸は2つのふへん(普遍、不変)であることが求められます。つまり基本や基礎と言われる部分です。それらがしっかりとできるようになると強い軸となります。
ものすごく特殊で特別なものである必要はなく、当たり前で変わらないものをどれだけ磨き輝かせるかが重要なのです。これはどのキャリアを築くにしても同じことで当たり前のこと変わらないことをやり続けて磨いていくことが大切です。
軸ができたら土台を広げる
強い軸ができたら土台作りです。
土台は本業となる部分です。できる限り今いる環境(本業)で実績を作りましょう。
環境が合わないという方もいると思いますが、どのような環境でも実績を残すことは30代、40代になるにつれて重要な指標となります。
実績は資産です。
資産の形成は突然できないため日々コツコツと作り上げていく必要があります。実績という資産を積み上げた人生とそうでない人生は明らかに違います。
ここからは私が実際に歩んできたキャリアについて書いていきます。すべての人がこの通りになるとは考えていませんが何か参考になればと思います。
キャリアレベル1できることから始める
キャリアレベル1
土台の形成は本業からジワリと広げていきます。今いる環境でできることから始めることがオススメです。
今できることから挑戦するのはレベル1の状態ですね。
ある程度、挑戦し失敗と成功を繰り返すことで次のレベル2に進むことができます。
大学院に行くことや専門分野の勉強もここに入ります。
キャリアレベル2新しいことを始める
キャリアレベル2
次のキャリアレベル2は所属している組織にまだない新しいことに挑戦しましょう。私は医療機関に勤務していた時は市民向けのスポーツ障害予防教室を企画し開催しました。
当初、上司は難色を示したものの多くの人を巻き込みながらなんとか開催することができました。現在、スポーツ障害予防教室は、医療機器を退職した後も継続して続いています。
この他にもトレーナー活動の環境を作り出すことも行いました。結果として、現在でいう複業(副業)となり、パラレルキャリアの一歩となりました。その後は、同じ医療機関でもその動きが活発となり同じような働き方をするスタッフが増えていきました。
複業に関しては、医療機関によって考え方は違うため慎重に話し合いながら進めていくことが望ましいです。
基本的には公文書を作り、複業における責任を医療機関は負わないという責任の所在をハッキリさせることで通ることが多いです。
私は理学療法士2年目からはチーム選任のトレーナーとして働いていました。やはり、その時も医療機関は関わらないというスタンスで全て自己責任として活動をしていました。
キャリアレベル3アウトプット主体の活動を始める
キャリアレベル3
ここまで来るとこれまでの実績から得られた経験や知識、技術はオリジナルのモノとなります。このオリジナルをアウトプットすることで実績を形成しましょう。つまり、講師やコミュニティーリーダーとなる活動です。
ネット環境が広がっていない環境では狭い範囲での知識の共有がなされていましたが、今では環境が整い誰もが発信できる機会となりました。考え方も多様になり1つの問題に対して多くの答えが出せるようになってきました。
治療知識や技術だけでなくここで書いているようにキャリアの形成においても職場の先輩がロールモデルだった時代とは明らかに世界は広がりました。
本に書いていない内容は貴重なコンテンツとなります。
あなたが経験してきたことはすでに貴重なコンテンツとなっているのです。
キャリアレベル4起業家、コンサルタント、メンターとなる
キャリアレベル4
このレベルになると起業、コンサルタント、メンターとなっていきます。
上記の3つは現在の私が行っていることの全てです。
ここまで来ると理学療法士のキャリア?と疑問に思う方も多いですが、実際に私が経験してきたことで全て繋がっています。
ただ、気をつけなければならないのはコンサルタントやメンターは起業を経験したらこそできた結果論です。
はじめからコンサルタントやメンターになろうと考えて動いたわけではありません。キャリアレベル2の新しいことを積極的に取り組む姿勢を続けてきたからに他なりません。
現在まで7社のコンサルタントやメンターとして活動しています。また、この他にも第3セクターのコワーキングペースでヘルスケアビジネスのアドバイスを行うコーディネーターとしても活動しています。
キャリアレベル5 行政の政策に参画する
政策に参画するというと大それたように思いますが、意外と医療機関から離れて活動していると声がかかることが多く行政の方針について知見を伝える機会が増えます。
行政に関わることは基本的にあまりお金になりません。
お金をいただこうと考えて近付くと基本的には門前払となることがあるそうです。
私は行政が進める介護予防、認知症対策、健康増進(疾病予防)などに関わる機会が多いのですが、行政の職員は事業の成果をできるだけ上げたいのですが、そこにはマーケティングの力が無く思うような成果が出せれないことが多いです。
ここではキャリアレベル4で経験した起業に関わるビジネススキルが活かされます。
そして、ヘルスケア独自のマーケティングや訴求方法を組み込んでいくのです。
ヘルスケアビジネス分野で起業した方ならわかると思いますが、ヘルスケアビジネスはマーケティングと訴求方法が成功の鍵を握ります。
主には一次予防の政策が中心となる行政の事業はこの2つの視点が欠けては思うような成果が出ません。
そこでこれまでの経験と知識を共有して行政の事業をサポートしていきます。
理学療法士のキャリアは自由に築いていい
医療機関から離れて理学療法士の名前を語り活動することは制約がありますが、理学療法士としての経験を生かして活動することは自由です。
これから理学療法士だった方の起業や企業への転職など増えていくことが考えられます。私の知り合いにもそのような活動を通じてより良い未来を創る活動をしている理学療法士を知っています。
医療機関から離れた時、理学療法士という装備を脱ぐことに抵抗がある人は多くいます。それなりに苦労して装備し好きだった理学療法士という仕事をそう簡単に置いて行くことがみんな難しいと思います。
プライドや意地もありますが、医療機関から離れた場合、それらは何の意味もありません。
キャリアプランを考えた場合、理学療法士としてやれることを徹底的にやり、実績を作り、そして次のステージに上がっていきましょう。
もちろん、スペシャリストを目指すことも素晴らしいことです。技術と知識を磨きながらスペシャリストになることは、私もその先を目指していたので大変さと素晴らしさを知っています。
どちらが凄い、偉いという話ではなくどちらの世界も理学療法士として活動している(いた)私たちが創ることができる未来です。
私たちが創る未来
理学療法士の活動はこれからますます広がりますが、私たちが創る未来は多くの人たちを幸せにすることができると考えています。
ただ、そこには社会構造や経済、ビジネスなどこれまで学んできた医学、医療の知識に加えて学ぶ必要があります。
広い視野で社会を観て、知り、目の前の課題がなぜ起こったのか?なぜ、解決できないのか?どのように解決すべきなのか?など疑問を考え抜き解決策をビジネスとして生み出して行くことがこれから私たちが身につけなければならないスキルの1つだと考えます。