先日、セブンイレブンで買い物をしていると見慣れたスイーツが置いてありました。
ピレーネ。豊橋市で知らない人はいないのではないでしょうか。移住した人も知る地元に愛されているスイーツです。
その後、Facebookでセブンイレブンとピレーネを販売しているボンとらやとのやりとりの投稿がシェアされているのを目にしました。様々な意見が飛び交う中かでパクることに対しての批判や権利に対してのアドバイスなどありました。
今回の件に関して特に私が口出しすることはないのですが、日頃からマーケティングやブランディングを中心に仕事をしているので勝手ながらパクられても負けないマーケティング、ブランディングについて考察したことを書いて置きたいと思います。
勘違いしないで欲しいのはどちらを応援しているとかではなくこういう考え方もあるよ〜。という記事です。
パクる、パクられることは日常茶飯事
ビジネスモデルをパクるというのはもはや日常茶飯事のことです。俺の〜シリーズで展開したビジネスがいきなりにパクられたことは有名です。良いビジネスモデルは基本的にパクられる。ただし、そこにはポイントがあります。
ただね、パクるなら徹底してパクるのです。
徹底するというのはその根底にリスペクトが存在しています。そのビジネスモデルに対して感銘し心酔する如く徹底して調べて再現するのです。そこまでやらないと表面的なパクりになるだけで何も成果を得ることができません。それでは、パクったものに対して失礼です。
パクるならリスペクトを忘れずにね。
セブンイレブンはスイートポテトと同じ感覚だろう
賛否は様々。
仮説ですが、その背景には、セブンイレブンがピレーネの誕生経緯が暖簾分けから生まれていて、商品として守られている訳ではないというビジネスのルールとしてはオープンだったと判断したのではないでしょうか。
伝統を引き継ぐのは情報がオープンになっていない時代には有効だったが今は多くの情報がオープンの場合が多い。先日、ピレーネの特集やピレーネに似たスイーツ(名前は多数)についてテレビが特集を組んで放送していた。
詳しいことは割愛するが、基本的にその作り方、形など守られている状態ではないと判断できる内容状況だった。
ここでセブン視点から見ると
- 安定した人気
- 地域の認知度の高さ
- 愛知県全域に同じ形のスイーツが存在している
- お土産としての価値も高い
- 手頃な価格(儲けが出やすい)
- 再現しやすい素材
ざっと挙げただけでも多くのメリットがある。
つまり、スイートポテトと同じ存在だ。ティラミスでもいい。タピオカでも。それらの存在と同じ感覚なのだ。そこにリスペクトが存在しているかは担当が知っているだろう。
様々な意見がある中でその判断に至ったのではないだろうか。
マーケティング視点から考えるパクられた時の対処法。ブランディングに活かすチャンス。
ここから本題ですが、私がFacebookやTwitterの投稿や様々な意見を見ながら感じた率直な感想は「チャンスだな」です。
SNS上では今回のセブンイレブンとピレーネの話題が一時的にも盛り上がりました。一部では比較する内容や推薦する投稿もあります。もちろんネガティブな意見もありますが、これらの投稿はUGC(User Generated Contents)が発生しているのです。 UGCとは、ユーザーによって生成または制作されたコンテンツです。口コミサイトやレビューも同じですが、個人のアカウントで生成されたコンテンツは多くの信用を得て、その影響力はビジネスを支え加速させてくれます。
今回の一件の流れを考えると、「ピレーネがセブンイレブンにパクられとる!」というUGCが発生し、それに対する意見が少しづつ発生しました。それほど多くない件数ですが間違いなく発生しています。これは第一次UGCとして考えます。そして、次に様々な意見や情報が加えられていきます。「そもそも〜」や「どちらが美味しかったか?」などです。これらは第二次UGCとして考えます。
UGCが新しいUGCを呼び起こし、それらが広がっていくとどうなるでしょうか?情報の拡散が生まれ今までピレーネを気にしていなかった人もピレーネを認識し始めます。
そして、セブンイレブンまたはピレーネのいずれかを目にした時に想い起こします。これを想起と言いますが、ビジネスでは第一想起(初めに想い出す)ポジションに自社の商品やサービスを陣取ることができれば大きく成長すると考えます。
つまり、見込み客だけでなく、これまで関心がなかった、無関心層にまで自社の商品の情報が届くのです。広告費を多く使っても無関心層がこちらに向いてくれることは本当に稀です。無関心層からすると、ピレーネよりもセブンイレブンの方法が間違いなく知名度、認知度、目に入り率は高いのです。そして、セブンイレブンを利用する人も圧倒的に多いのです。
セブンイレブンのスイーツを食べたら、本家や伝統的に作っている方にも興味が湧き食べに来てくれる可能性が生まれるのです。今回の一件はチャンスなのです。
ピンチをチャンスに変えるブランディング
チャンスをただ待つだけならチンアナゴと一緒です。
安全な穴に隠れながら流れてくる餌をパクつく。水族館で観るだけなら可愛いのですが、それをビジネスでやれば死にます。無理です。
ピンチをチャンスに変えるためにはブランディングの力を利用します。
改めて、ピレーネをブランディングし直すのです。
今回の件で考えると先ほども述べたように見込み客、無関心層に対してのブランディングを考えていきます。
キーポイントはパクったセブンイレブンです。
理由は、セブンイレブンを利用した方が目に止まるからです。そして、セブンイレブンをパクるのです。もちろん、リスペクトを込めてね。
下記にセブンイレブンを中心に置いたブランディングメッセージを簡単に書いてみました。
このキャッチフレーズは強力ではないかと考えている。
パクパクとセブンもパクる(食べる)ピレーネ
どうだろうか!パクられたらパクり返して販売してはどうだろうか?
これならみんなパクパクして美味しい結果になるだろう。
お後がよろしいようで。
実際には悔しい出来事だが、みんな頑張ろうね。
ブランディングに関する本はブランディングの科学がオススメです。
ブランディングはマーケティングの一部ですが、自社と他者、そして環境(顧客や社会)を一緒に考えていく必要があります。その中で、自分だけの考えでは失敗しますよ。その点でこの本は補完してくれる情報が多く集まっています。